column

Logistics Architecture -物流が建築、都市を変えていく-(11)

Logistics Architecture研究会第11回フォーラムはアリイイリエアーキテクツパートナーの有井淳生氏と入江可子氏、ノウサクジュンペイアーキテクツ代表の能作淳平氏が登壇した。

 

有井氏と入江氏は機械部品を扱う専門商社の倉庫兼オフィスの新築プロジェクトである清光社埼玉支店について、能作氏は元倉庫を広告関連企業のオフィスに改修したプロジェクトである101BASEについてプレゼンテーションした。

清光社埼玉支店は埼玉県上尾市の国道17号と住宅街に挟まれた敷地に建つ。国道周辺はロードサイト型の店舗などが建ち並んでいる。規模は木造2階建て延べ床面積483.32㎡である。1階に倉庫とエントランス、2階にオフィスという構成である。
正面は左側に小さなエントランスがあり、右側に搬入搬出口がある。側面から見ると約4m出た鋭角なひさしが力強い。ロードサイトに溢れる文字情報の看板に対して形態としての強さが倉庫的なファサードになるのではないかと考えたという。
1階の倉庫エリアとエントランスエリアはポリカーボネートの波板で隔てられており、その骨組みはパレットラックと同じ軽鉄を使用している。塗装色もパレットラックに合わせている。2階のオフィスは道路の騒音と振動から守るため住宅街側に寄せてあり、倉庫の半分強が2層吹き抜けになっている。
構造は一般流通材を使用している。断面の小さい登り梁と方杖が屋根を支えている。空間上部にその登り梁と方杖によってできた菱形の空間が浮び、倉庫エリアとオフィスエリアをつないでいる。
棟の全長にトップライトを設けている。さらにテント地を吊り、光を天井面に反射させながら透過させ自然光を拡散させている。オフィスエリアとエントランスエリアは白く塗装してさらに光が拡散するようにしている。

 

101BASEは東京の日本橋人形町に建つ。接道しておらず、ビルに囲まれている。既存の建物の規模は木造3階建て、延べ床面積133.83㎡だ。1階「LIFE」、2階「OFFICE」、3階「STUDIO」と名付けられた空間で構成させている。テーブルがそれぞれの階の特徴になっている。1階にはキッチンカンターがあり、2階には中央に大きな円形のテーブルが備えられている。3階にあるのは組み合わせテーブルである。
裏路地に面する外壁の1面の3層すべてをガラスのカーテンウォールにしている。光を採り入れるとともに内部で働く人のために向きをつくることを意図している。またガラスのカーテンウォールで元倉庫をオフィスビルに改修したことを象徴的に表現したという。最上階の天井に反射透過する素材を用い、内部空間に光を引き込むと同時に外部の風景を映しこませている。

倉庫は都市の中にある。その外観は都市景観に影響を与える。また倉庫はものの保管とそのための作業を行う空間であるが、人のいる空間もかならずある。今回のフォーラムでは新築倉庫の外観の表現と元倉庫をオフィスに改修する時のファサードの表現の意図が、そして新築倉庫内と元倉庫内という異なる条件の中でオフィス空間の環境を整えるために行われた自然光のあつかいの例が示された。

 

中崎 隆司(建築ジャーナリスト・生活環境プロデューサー)

【プロフィール】
有井淳生(建築家、アリイイリエアーキテクツパートナー):
2007年東京大学工学部建築学科卒業。2008~09年OMA/Office for Metropolitan Architectureインターン。2010年東京大学大学院新領域創成科学研究科修了。2010~15年CAt/シーラカンスアンドアソシエイツ勤務。2015年アリイイリエアーキテクツ設立。

 

入江可子(建築家、アリイイリエアーキテクツパートナー):
2010年東京藝術大学美術部建築学科卒業。2011~12年 Politecnico di Torino, Facoltà di Architettura留学。2013年東京藝術大学大学院美術研究科修士課程建築専攻修了。2013~17年CAt/シーラカンスアンドアソシエイツ勤務。2017年~アリイイリエアーキテクツ

 

能作淳平(建築家、ノウサクジュンペイアーキテクツ代表、富士見台トンネル代表):
1983年富山県生まれ。2006年武蔵工業大学(現・東京都市大学)建築学科卒業。2006~2010年長谷川豪建築設計事務所勤務、2010年ノウサクジュンペイアーキテクツ設立。2019年に東京都国立市にてシェアする商店「富士見台トンネル」を開業。

 

中崎隆司(建築ジャーナリスト&生活環境プロデューサー):
生活環境の成熟化をテーマに都市と建築を対象にした取材・執筆ならびに、展覧会、フォーラム、研究会、商品開発などの企画をしている。著書に『建築の幸せ』『ゆるやかにつながる社会‐建築家31人にみる新しい空間の様相‐』『なぜ無責任な建築と都市をつくる社会が続くのか』『半径一時間以内のまち作事』などがある。