SOHKO RENOVATION MAGAZINE

CASE STUDY

事例

はたらく、しまう、みせる。
企業の成長は倉庫とともに。

Office, Storage & Showroom

2016年創業のカグカスは、売り出し中の不動産物件に家具などを配置して魅力を引き出すホームステージングを得意とする。デベロッパーなどから依頼を受け、物件にいろどりを添えた内見会を開き、成約に結び付けてきた。その実績は1万件を超える。
多くの家具やインテリアを保管・管理する必要性もあって、カグカスが各地に置くオフィスはすべて倉庫併設型だ。東京・港区港南に位置する東京支社も、倉庫ビルの一角を占めている。

東京支社は倉庫ビルの複数フロアにまたがり、合わせて260坪ほどを使用している。執務スペースと家具・インテリアの保管スペース、展示スペースを確保できる物件を2023年ごろから探し始め、入居したのは2024年の9月。当初は1棟まるまる借りられる倉庫ビルを探していたが都内には条件に合う物件がなく、現在のビルを紹介されて入居した。
決め手となったのは、駅からの距離と大きな貨物用エレベーターがあること。カグカスの働く場はあくまで現場で、東京支社では常に250ほどの物件でホームステージングを実施しているという。通勤や来客の交通利便性も大切だが、優先されるのは家具の出し入れのしやすさだ。

白をベースにした室内はすべて自社施工。主役はあくまで家具やインテリアという考え方から、あえてシンプルな内装デザインとしている。見せ方にこだわったという展示スペースも同様で、これまで追求してきた「それぞれの家具がもつ魅力、それぞれの物件がもつ魅力をどう伝えるか」という理念を具現化した空間だ。

ホームステージングが主業のようにはなっているが、カグカスの役割はあくまで物件の魅力を引き出し最大化させること。同社代表の金保智也氏も「ホームステージングは不動産のバリューを上げることが目的」と強調する。
長く不動産営業を勤めた金保氏は、その経験から「物件の魅力を適切なターゲットに適切に伝えることの大切さ」を学んだ。「売り方、売る相手を最適化するだけでも効果がありますが、ホームステージングはその手段だと考えています」とし、あらゆる不動産のバリューアップに意欲を見せる。
「例えば、マイソク(物件販促用のチラシ)を変えるだけでも効果があります。実はこの分野には、まだ多くのスキームが残されているんです」。

ホームステージングはその効果の高さから、ニーズも膨らみ続けている。カグカスでも業容を拡大してきたが、東京支社もすでにスペースが不足しつつある。室内はほとんどが保管スペースで埋まり、展示スペースにも浸食。約30人の従業員の執務スペースをどう確保するかが喫緊の課題になっている。
だが、金保氏にとってホームステージング部門の拡大は将来への布石だ。物件の管理やリノベーションなど、不動産のバリューアップのための次なるステップを見据え、その視線は倉庫へも向いている。

「倉庫の広大なスペースは、ユーザーが自由に使える空間として非常に魅力的です。倉庫っぽい雰囲気をおしゃれととらえる人も増えていますし、もっと倉庫を楽しもうという意識が高まってほしいですね。むしろ倉庫の魅力を高める側になりたいですし、なれると思います」と、物流不動産への思いを語る金保氏。
カグカスが手がける倉庫のバリューアップ。その手法を見られる日は、そう遠くなさそうだ。

カグカス
東京支社 東京都港区港南3-4-27
https://kagkas.com

取材・文:久保純一(イーソーコ総合研究所)
公開:2026年6月3日
※掲載内容は取材当時のものであり、現在とは異なる場合があります。