interview

プラスファニチャーカンパニー 執行役員
小池徳彦

お客様の志向(想い)を形にする倉庫リノベーションの可能性

 「お客様の志向(想い)を形にする」をミッションにオフィスのトータル企画・設計、インテリアの選択などを手掛けるプラス株式会社ファニチャーカンパニー。オフィス家具、文具用品の製造、販売をする同社にとって、ファニチャーカンパニーは、ものづくりを行いながら、顧客に向けて利用方法を企画、提案する部署となる。「K(高品質)T(低価格)G(グッドデザイン)」の製品群とその提案の斬新さがユーザーに評価され、多くの事例や受賞歴を持つ。同社の小池徳彦執行役員に最新のオフィス事情、クリエイティブオフィスと社員の生産性向上の関係、倉庫リノベーションの持つ可能性について聞いた。(敬称略)

出村:貴社がデザインした株式会社アソビズム様のオフィスが、2012年日経ニューオフィス賞の「ニューオフィス推進賞」を受賞されました。
小池:「クリエイティブな発想を誘発する」をキーワードに、社員間、お客様とのコミュニケーションをとりやすくするスペース作り、ボルタリングのできる壁など遊び心があるクリエイターのためのオフィスをデザインしました。同社の大手智之社長の「社員が帰りたくないオフィスを作る」というコンセプトには、目からうろこでしたね。
当社は、ベンチャー起業家などのこれから伸びていく勢いのある会社のオフィスをデザインすることが多いのですが、いいオフィスが社員と会社を伸ばしていることを感じます。また、自身のアイデンティティをしっかり持っている経営者は、そのアイデンティティをオフィス作りにも反映したいと考えています。そういった方々のこだわり、彼らも気づかないニーズ、志向(想い)を形にすることで、社員が仕事をしやすい環境作りをお手伝いしたいです。それが、日本経済の活性化を支援することにもなると思っています。
出村:社員が帰りたくない、つまり、会社でずっと仕事をしているわけですから、クリエイティブな雰囲気のオフィスにいれば、生産性も高くなります。環境が人の行動を変える好例ですね。
小池:アメリカのオフィス事情でも最近言われているのですが、ノートパソコンやスマートフォンがあれば、どこでも仕事ができるので、オフィスのライバルはカフェなのだそうです。経営者としては、会社への帰属意識、共同体意識が薄れているという危機感があるようです。オフィスの企画でも、社員に会社に来てもらう、もっと会社の事業、他のメンバーにコネクト(結び付ける)する仕掛けを求められることが増えました。具体的には、チームで仕事をしやすくなるよう、仕事以外のコミュニケーションも図れるミーティングスペースやカフェスペースを設計したりしています。仕事上のコミュニケーションはもちろん、インフォーマルなコミュニケーションを誘発するオフィス作りも求められています。

出村:オフィスの価値が改めて問われています。
小池:現在は、画一的なオフィスが当たり前だと思っていた世代から、よりカジュアルでクリエイティブなオフィスを求める世代への変化の時期だと感じています。日本が豊かになり、洗練された文化に触れて育ってきた若手経営者は、オフィスを「コスト」でなく、「投資」と捉えています。社員の生産性を向上させ、企業への帰属意識を強めるクリエイティブオフィスは、これからも増えていくでしょう。中でも、倉庫の高い天井、柱の少なさを生かし、広い空間を自分好みのオフィス、スタジオなどにリノベーションしたいという潜在的需要は大きいと思います。
出村:こだわりのオフィスには、こだわりの家具が選ばれます。
小池:家具一つにも、お客様のこだわりがあります。スチールのオフィス家具より、木製の暖かみのある家具を好む層が増えてきました。長時間働くオフィスですから、居心地の良さやリラックス感を求めるのでしょう。また、オリジナリティを大事にされています。当社には、自由なデザインが可能なデスクシリーズ「XF(エクセフ)」があります。天板の形、色、サイズをワークスタイルや好みに合わせて自分だけのデスクを簡単に作れます。
出村:倉庫リノベーションが、日本のクリエイティブオフィスに貢献できることはたくさんありそうです。本日はありがとうございました。

<小池徳彦氏プロフィール>
1982年 プラス入社 事務機器事業本部所属
1999年 教育環境事業本部 部長
2005年 ファニチャーカンパニー 事業部長
2010年 ファニチャーカンパニー 執行役員本部長