プラスオートメーションの主業は、倉庫内で働くロボットたちのプロデュース。さまざまなメーカーでつくられたロボットたちを能力ごとに組み合わせて倉庫に派遣し、物流現場で必要とされているソリューションをサブスクリプションのかたちで提供している。同社が新たな拠点に選んだのも、倉庫だ。
2023年3月1日にグランドオープンした同社の新拠点「+A Base」は、総面積約320坪の元倉庫。ここに、本社オフィス、ロボットのショールーム兼デモンストレーションスペース「cube」、ロボットメンテナンスセンターという3機能を集約した。
約50坪の1階にはエントランスと「cube」、270坪の2階部分に本社オフィスとメンテナンスセンターを設けた。もともと同社の拠点は機能ごとに3カ所に分散されていたが、拠点の一つが賃貸借契約の満期を迎えるのを機に集約を計画。業務効率化や部署間のシナジーも目指し、江東区大島に移転した。
1階エントランスは、表通りからアプローチを入った先のシャッターの中にある。段差が付けられたそこは一見してトラックバースだが、一歩入るとコンクリートの床に置かれたラックやフェンスが目を引く。ラックにはロボットが置かれ、コンクリートの床は、時にロボットが走り回るデモンストレーションスペースとなる。内装はトラックバースとして使われていたほぼそのままだが、スチール製の無骨なファニチャーがインダストリアルな雰囲気を増幅させている。顧客に「見せる」場の内装をあえて作り込まないのには、倉庫内でロボットが働くさまがイメージしやすいように、という理由もある。
2階はメンテナンスセンターとオフィス。ロボットの検査や修理、テストなどを行うメンテナンスセンターの内装も、コンクリートやスチールの素材感を表現したプリミティブな仕上げ。一方のオフィスはカフェのような暖かみのある色合いで仕上げ、落ち着きある雰囲気にまとめた。
約50人が働く執務スペースはフリーアドレス。落ち着いて執務にあたれるブースやちょっとした打ち合わせができるファミレスのようなボックス席などを用意し、業務に合わせて座席を選ぶことができる。将来的な増員も見越して、かなり余裕のあるレイアウトとなっている。
この新拠点の開設に向けて探していたのは、従業員の通勤や来客の交通利便性を考慮しつつ、ショールーム兼デモンストレーションスペースやメンテナンスセンターも確保できる物件。そんな条件が、地下鉄「西大島」駅すぐ、新大橋通沿いで実現できた。
「ほぼ即決でした」と振り返るのは、同社経営管理部の井島氏。たんなる移転ではなく、3拠点の集約というプロジェクトをまとめるにあたって考慮したのは、「風通しのよさ」だという。これまで別の場所で仕事をしていた従業員たちが一カ所に集まる。どう一体感を保つかが検討課題となったが、「執務スペースもパーティションなどで仕切らず、座った状態で目線が合わせられるよう配慮したり、コミュニケーションがとれるよう、カフェスペースを設けたりしました」(井島氏)。「風通し」は会議室にもおよび、3カ所設けた来客用会議室も全てガラス張りだ。
倉庫というと、いまだに静のイメージが強い。たしかに保管をメインとする従来型の倉庫はそうかもしれないが、昨今の物流施設の中は動の世界。人やモノ、そしてロボットが常に動き回っている。ロボットと倉庫の相性が、悪いはずがない。
プラスオートメーション株式会社
東京都江東区大島3-1-6(オリコム城東センター)
https://plus-automation.com/