archives

Concept Shop
青は藍より出でて倉庫を染める

100年履き続けられるスニーカーをつくりたいという思いから生まれたブランド「Bluestone(ブルーストーン)」。阿波藍からとれる染料・蒅(すくも)で丹念に染められた革を使ったスニーカーは履くほどに色がなじみ、風合いを増していくという。その世界観を体感できるコンセプトショップが、東京・日本橋蛎殻町にある。

小規模なオフィスビルが立ち並ぶ街の一角。5階建てのビルのエントランスを入って階段を地下へと下りると、小さな中庭の奥にガラス張りのショップが現れる。広さは40㎡ほど。立地や建物のたたずまいとも 相まって、その存在に気付く人は多くないかもしれない。

三方を囲む壁は漆喰塗りの落ち着いた白、床は矩形の板を組み合わせたパーケットフローリングで、それぞれの色合いがスニーカーの藍色を引き立たせる。什器も無垢の木材で造作したオリジナルで、良質な天然素材を生かす「Bluestone」のポリシーを具現化した内装といっていい。藍染めの革を張ったソファーや藍で染めたギターなど、アクセントとして置かれたインテリアもそれぞれストーリーを持つものばかりだ。

2014年に設立した「Bluestone」は、量販店向け製品の製造販売を主としていた興和インターナショナルがこれまでに培った技術を発信するべく、国産材料を使った自社ブランドとして立ち上げた。藍と革を主な素材として、スニーカーのほか革小物やアパレルも展開。いずれも原料、デザイン、縫製、すべてにこだわった「本物」を追求し、染めから縫製まで職人による手作り。素材はパッケージに至るまでリサイクル可能な天然由来で、傷んだスニーカーはいつでもリペアできる。現在では期間限定のポップアップストアなどでも販売されており、反響が広がっている。

建物は興和インターナショナルが本社オフィスとして2010年に取得したもの。「Bluestone」のショップは倉庫として使用していた地階を改装し、2018年にオープンした。現在でもショップの奥は倉庫兼作業場となっており、素材の一部などを保管している。

実はこの建物は1980年代に個人宅として建てられたものといい、パーケットフローリングの床などは建設当時のまま。地階へと下りる階段は採光用の吹き抜けに設置したもので、踏板は天然木の一枚板とした。段ごとに異なる木材を使用し、なかには藍で染めた木材も。天然素材と藍へのこだわりは、ここにも見ることができる。

「いかにもお店っていう感じにはしたくなかったんです」と話すのは、「Bluestone」を立ち上げたデザイナーの赤理浩一氏。ショップを造るにあたって、まず重視したのが居心地だという。天然素材にこだわるブランドとして、ケミカルなものもあまり入れたくない。自然とプリミティブな設えになったが、そこに使う素材には妥協したくなかった。

「長く使ってもらえる本物をつくりたい、日本のものづくりの技術を残したい」という思いから立ち上げた「Bluestone」。藍で染められた革が使い込まれて艶を増すように、建物もまた使い込まれることで、風合いを増していく。

 

 

Bluestone

東京都中央区日本橋蛎殻町2丁目14-12 日本橋KWビルB1F

https://blue-stone.jp/