都心にある倉庫を真っ白なダンススタジオにリノベーションした建築家の福田友一氏のStudio ARCHITANZ(スタジオアーキタンツ)。アーキタンツは、建築「ARCHITECTURE」とダンス「TANZ」を組み合わせた社名で、建築設計とスタジオ企画運営の2つの顔を持つ。
以前、福田氏は別の場所でダンススタジオを運営していた。手狭となり、より自身の創造性を発揮できる物件を探しはじめていたが、都内ではダンススタジオに適した物件は少なく、スタジオ移転計画は難航していた。そこで見出した方法が、倉庫を大きく改修し、ホワイトキューブの空間に生まれ変わらせる倉庫リノベーションだったという。
倉庫ならではの柱間の広さ、天井の高さを生かし、装飾を廃したシンプルな内装のダンススタジオにカスタマイズ。大小合わせて3つのスタジオ(合計538.84㎡)を持つ、国内でも有数のダンススタジオに生まれ変わった。
また、倉庫の広さを活用して複数のスタジオを持つことができたため、日頃の練習としてのオープン・クラス、公演前のリハーサルなど多目的な使用が可能となる。同スタジオは、特定されたバレエ団の利用にこだわらず、フリーランスのダンサー、様々なカンパニーに所属しているダンサー達がそれぞれの目的に合わせ、集まってくる。
国内外のカンパニーで活躍している有名ダンサーもアーキタンツを利用している。スタジオの広さが本番さながらにリハーサルできるからだ。自由な雰囲気の中、様々なジャンルのダンサーが集まっているので、お互いプロとして刺激を受ける良い場になっているという。
さらに、スタジオだけでなく、広い休憩スペースが利用者に好評だ。休憩スペースには石造りの水槽が設置され、涼しげな水音が聞こえる。観葉植物を配置し、単に休息をとるだけではなく、緑で和めるおしゃれなスペースとなっている。ここはくつろいでおしゃべりができるサロン的な場所でもあり、アーキタンツ独自の魅力をかもし出している。
スタジオに通うダンサーの声を聞いてみると、「広いスタジオというのは、本番の舞台と同じ規模のスペースで練習ができるので、舞台での本番がやりやすい。大きなジャンプ、リフトも伸び伸びできる。大小3つのスタジオがあるので、練習内容や体調に合わせてスタジオを選ぶことができるのもいいですね」と宮澤良輔さん。日本バレエ協会、谷桃子バレエ団等のバレエ公演に数多く出演、劇団四季に在籍し多くのミュージカル公演にも出演した経験を持つダンサーの彼がアーキタンツの魅力をこう語ってくれた。
3歳よりバレエを始め、現在フリーのバレエ・ダンサー、講師として活躍中の久城亜希子さんは、「都内でこれだけ広いスタジオは珍しい。開放感があり、先生の声やピアノの音が良く響くので聞き取りやすい。踊っていて気持ちいい」と話している。
また、「このスタジオは清潔で、元倉庫だったなんて想像もつかなし、コンクリート打ちっぱなし、工場や倉庫風の店舗もあるくらいなので違和感がない。先日ニューヨークに滞在したが、ニューヨークにもこれだけのスタジオは珍しい。海外の有名なカンパニーにも口コミでアーキタンツの良さが広まっています。入居しているビルは警備員さんが常に巡回しているので、女性が夜遅くまで稽古していても安心ですね」という。
倉庫リノベーションでまちづくり
アーキタンツの魅力は、スタジオ内だけにとどまらない。
2012年1月28日には、東京都港区芝浦1丁目商店会『ワインの会芝浦』主催、アーキタンツ、芝浦1丁目町会共催でお酒を片手に、気軽にダンスとJAZZを楽しむ 芝浦1丁目の会「メード・イン・芝浦」を開き、地域に開かれたスタジオを目指している。
同会では元香港バレエ団プリンシパルの二人が踊るバランシン振付『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』が披露され、「渋さ知らズ」などでも活躍する音楽家によるJAZZ LIVEも行われた。お酒を飲み、つまみを食べつつ、ダンスや音楽を楽しむ会で、芝浦の住民を中心に約150人が訪れた。
福田氏は、倉庫リノベーション物件から、地域の方に気軽にアートを楽しんでもらえるイベントを発信するまちづくりを目指しており、今後もダンスや音楽で地域を盛り上げる催しを開催していく予定だ。
株式会社アーキタンツ
アーキタンツ一級建築事務所
代表取締役 福田友一
東京事務所
〒105-0023 東京都港区芝浦1-13-10 第3東運ビル4階
TEL:03-5730-2731 FAX:03-5730-2733
福岡事務所
〒812-0012 福岡市中央区白金1-17-27-301
TEL:092-534-5277 FAX:092-534-5288
http://www.a-tanz.com