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Creative Office 横浜を愛するクリエイターが集う、夢とロマンの倉庫リノベーション・オフィス

「倉庫は、夢とロマンがある建物。スクラップアンドビルドで簡単にビンテージ(築年数の経った)倉庫を壊してしまうのはもったいない。倉庫の持つ歴史、記憶を大事にするためにも、倉庫をリノベーションし、再活用を図るべきだ」と断言するのは、横浜万国橋SOKOにオフィスを構える建築家の松永基氏。
『創造空間 万国橋SOKO』は、横浜市の「ナショナルアートパーク構想」の一環として2006年にプロデュースされた。保税倉庫をリニューアルした倉庫ビルだ。松永氏の建築設計事務所・エムズワークスのほかにも建築設計事務所、イベント企画会社、フォトスタジオなどが入居しており、テナントは皆横浜と縁の深い人々ばかり。皆、新築のビルにはない倉庫リノベーション・オフィスの雰囲気と横浜という土地の魅力に惹かれて集まってきた。
これだけクリエイティブの人たちが集まる倉庫魅力について松永氏は「ハード面としては天井の高さ、柱の少なさといった空間の広さがある。また、万国橋SOKOは、日本の物流の要である横浜の歴史ある倉庫を改修し、クリエイター達の集まるクリエイティブオフィスとなった。都市の歴史と新たに生み出されるアートの融合が面白い。横浜出身者として、横浜をここから盛り上げていきたい」とポテンシャルについて語った。
入居者同士の交流もさかんで、毎年秋には「横濱万国橋覧会」と題したテナントの作品発表や建物のライトアップなどを行うイベントを開催している。横浜市が開催する他のアートイベントにも協力しており、倉庫リノベーション・オフィスに集ったクリエイター達が新たな横浜の文化を発信している。

また、松永氏はガレージ建築を得意としている。「倉庫やガレージは、夢とロマンがたくさん詰まったおもちゃ箱のような場所だ。独特の雰囲気と遊び心があり、ドラマ『傷だらけの天使』や『探偵物語』の事務所に憧れた世代にはたまらない建物ではないか」と話す。
さらに、「倉庫リノベーションでは、既存のオフィスでは実現できないこだわりを思う存分オーダーできる楽しみがある。古い建物の歴史、文化を受け継ぎながら、新しい命を建物に吹き込むことができる。建築家として、スクラップアンドビルド、経済効率を追求するだけでなく古い建物を大切に使うことに意義を感じる」としている。
ビンテージ倉庫の歴史を継承しながら、新しくクリエイティブなオフィス、スタジオを創造していく倉庫リノベーション。万国橋SOKOからも、港・横浜の歴史を引き継ぎ、次々と新たな文化が生み出されていくだろう。

有限会社エムズワークス
代表取締役 松永基
横浜市中区海岸通
https://www.msworks-arch.jp/