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Creative Office 元倉庫の良さを最大限に生かした機能的かつお洒落なcreative office

 撮影機材のレンタル会社・小輝日文(こきひふみ)は、機能性を追求しながらもお洒落な倉庫リノベーションオフィスを構えている。もともと一般的なオフィスビルを複数賃借していたが、スペースが手狭になっていた。撮影機材の保管庫、機材のチェックスペース、オフィスの機能を集約し、港区芝浦の大型倉庫ビルの一部をリノベーションしたオフィスに移転した。
同オフィスのデザインを手掛けたシェルフの谷利貞氏は、「元倉庫に入居するということで、機能性を追及し、打ちっ放しのコンクリートの床や化粧板のないむき出しの天井など倉庫のダイナミックなイメージを生かしたデザインにした。また、コンクリートや鉄という無機質な素材と木材、レンガを組み合わせ、シャープでありながら、暖かみも感じさせる空間づくりを目指した」という。
また、「使用用途によって空間のイメージを大きく変えていった。機材運搬のための通路は、機能性を追及してコンクリート打ち放しを残した。試し撮りのためのスペースは、モノクロで、オフィス、コミュニティスペースは木材やレンガで暖かみを出し機能ごとにデザインを分けている」としている。

 同社は撮影機材のレンタル会社のため、毎日50~60人が出入りし、台車で機材を運搬している。そこで、新オフィスの立ち上げに当たり、最重要視したのは、機材運搬のしやすい環境作りだった。倉庫ならではの貨物用エレベーターを利用できるというメリットを生かし、運搬用の入り口は出入りしやすいよう大きく取った。床はコンクリートの打ちっ放しなので、人の出入りが激しくても痛みが少なく、しかも見た目がカッコいいと評判だ。目の高さまでレンガの壁、木製の大型扉を設置しているが、それ以外は従来の倉庫のままにしてあり、リノベーションされた部分とあいまって一段とお洒落な雰囲気をかもし出している。
機材の運搬用に広い通路を取っている。また、機材の調整、試し撮りのできるチェックスペースも広く確保した。オフィス内は意識的にゆとりあるつくりになっている。倉庫ならではの大空間を生かした形だ。
小輝日文・フロントスタッフの山口洋輔氏は、「扉が大きく、床はバリアフリーなので、機材の搬入がしやすい。以前はオフィス、倉庫などが別のビルやフロアにあり、連絡がスムーズにいかないこともあったが、広い1フロアに各機能を集約したことで、業務の効率もよくなった」と話している。
さらに、機能一辺倒だけでなく、コミュニティスペースは木材でフローリングされ、壁もレンガが貼ってあり、窓がなくてもなごみ感がある。テーブルには、いつもピンクのバラを欠かさず飾っているのもポイント。

 また、谷氏が苦心したのは1階のエントランスのデザイン。以前倉庫の荷捌き場だった所に小輝日文らしさを感じさせるデザインを取り入れた。壁の一部は床から1.2mまではステンレスで覆ったが、それ以外は天井まで木材を使用。各テナント共同の荷捌き場から、貨物用エレベーターへと続く通路は、ライトに工夫を凝らし、3階の同社のオフィスとのイメージを共有できるようにした。通路の手前から連続して壁にスカラップ(貝殻のような光の波紋)が出るように暖色系ライトを配置、奥に誘導するようにし、上階のオフィスの広さを連想させている。元倉庫に新しいテナントが入居したというイメージを無理なく打ち出した。
同社のオフィス、機材保管庫、チェックスペースを1フロアに集約した事例は、機能的でありながら、お洒落と評判が高く、見学希望者も多い。元倉庫の利便性を最大限に引き出し、かつクリエイティブなイメージを両立させたまさに倉庫リノベーションのお手本ともいえるオフィスだ。

株式会社小輝日文
東京都港区芝浦
代表取締役 奥山 恭男
http://www.koki123.jp/