東京下町の風情を残す台東区千束。ここに築約30年の印刷工場をリノベーションした一級建築士事務所アンドロッジのオフィス「入谷ロッジ」がある。
代表の畑山慶氏は、早稲田大学理工学部建築学科卒業後、不動産デベロッパーなどを経て独立。友人所有のビンテージビルにほれ込み、1階を自社オフィスにリノベーションしたという。
ホワイトキューブの空間に、ファサードはほぼガラス戸となっており、外光を取り込んでいる。打ち合わせスペースを前面に持ってくることで、オフィスの活発な動きが外にも伝わるつくりになっている。天井高は約4.5mあり、広々とした空間で打ち合わせや模型作成などの作業もできる。
また、印刷工場であった名残の簡易リフトの入り口もそのまま残し、工場っぽい雰囲気を出している。
共用部約50㎡をシェアオフィスとして賃貸(http://andlodge.com/archives/1122)
し、クリエイティブ系の事業者5社が入居している。高価な建築関連の書籍、カタログを入居者で共有し、活用。クリエイティブ系シェアオフィスならではのメリットを出し、このオフィスからステップアップしていく企業もある。意外なところでは、個人事業者でもアンドロッジが法人契約でリースしているコピーFAX複合機、コーヒーサーバー等をシェアできるのも好評を博している。
また、毎月1回「木曜会」という異業種交流会も開かれており、参加者からは「普段会えない業種の人たちに会えるので、とても楽しい」と評判だ。
畑山氏は、入谷ロッジ以外にも築約50年の倉庫をイベントスペース、カフェに改修した「すみだパークギャラリーささや」をデザイン。スカイツリー完成に伴い、「地域に広がりを持つ観光」や「地域活性を促す仕掛け」のために倉庫リノベーションを企画提案した。公園施設としての側面を併せ持たせることで、行政協議により隣地親水公園から完全バリアフリーの巨大階段アプローチを実現。倉庫の広々とした空間を生かし、地域交流の場としてビンテージ倉庫を生まれ変わらせた。
その他にも中央区築地のビンテージビルのリノベーション、サブリースなど様々な企画を打ち出し、独自の活躍を見せる畑山氏。「さまざまな仕事を手掛けているが、自分の職業はイノベーション屋だと思っている。ビンテージ物件ならではの良さを引き出す企画、建築が得意。ただのスクラップ&ビルドの物件にはない、既存状態や関わる人の面白さと魅力を引き出す作品づくりを進めていきたい」と話している。
株式会社アンドロッジ
東京都台東区千束
代表取締役 畑山 慶
http://andlodge.com/