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Creative Office 平屋倉庫をクリエイティブオフィスに

建築家・西村浩氏が率いるワークヴィジョンズは、品川の住宅街にある平屋倉庫をクリエイティブオフィスに生まれ変わらせた。8年前、以前のオフィスが手狭になり、模型作製などもできる広い作業スペース付きのオフィスを探していた西村氏。当初は、代官山などで探していたが、理想の物件が見つからず、歩きまわるうちに出会ったのが現在のオフィスがある倉庫だったという。

 平屋のビンテージ(築年数の経った)倉庫に一目ぼれした西村氏は、倉庫をオフィスに利用することなど考えたこともないオーナーに猛アタック。西村氏の熱意にほだされたオーナーの了解を取り付け、3つに分けられた平屋倉庫の中央部分を借りることになった。
まず、倉庫の広々とした空間の中で、天井の高い中央部分に2階を挿入することで大きく2つの空間を生み出した。来客などに使う前面のスペースと模型作製や事務を行うスタッフのワークスペースだ。可動家具でスペースをやわらかく分節し、建物の中に変化をつけている。床はスタッフのワークスペースには木製の床を入れたが、その他は土間コンクリートのまま。照明は倉庫だった頃のものを再利用し、天井も貼らず、鉄骨むき出しで無骨な倉庫らしさを残した。

 また、倉庫の広く、独特な雰囲気を持つ空間を生かし、オフィスでパーティを開くこともある。そのときは暗幕を仕切り代わりに使っている。プロジェクターを入れて映像を流したり、照明の実験をしたりするなど広い空間を自由自在に用途によって切り替えている。
住宅街の中の倉庫に突如現れたクリエイティブオフィスは、周辺の雰囲気をも変えた。ワークヴィジョンズが入居したスペースの左隣にスーパーマーケットが入居し、右隣には、高級中古外車の会員制ショールームとなり、倉庫全体が以前とはまったく違った建物に生まれ変わった。
西村氏は、「倉庫の自由度の高い空間は、模型製作や工具の収納など広いスペースを必要とする建築家のオフィスにぴったり。近所でも、パーティや音楽会などの楽しそうな雰囲気に(倉庫の中で)『何をしているのだろう』と注目され、お店と間違えて入ってきてしまう人もいる」という。また、「畳を入れて、お茶会を開くなど以前のオフィスより、お客を招いたり、パーティを開いたりすることが増えた。このオフィスは、自分たちで作りあげた空間だけにとても愛着を持っている」と話している。
さらに、西村氏は倉庫リノベーションのみならず、コンテナ建築も手掛け、物流と建築の新たなコラボレーションに取り組んでいる。昨年、佐賀市の社会実験、「わいわい!コンテナ」プロジェクトを企画・設計。今年6月に実験第2弾も行われた。同プロジェクトは、街なかに増殖する青空駐車場や遊休地を「原っぱ」に置き換え、地域ににぎわいを取り戻そうという試みだ。イメージは、「ドラエもん」の土管が積まれた空き地。同実験は、借地した遊休地に芝生を植え、中古コンテナを使った雑誌図書館、交流スペースなどを設置し、たくさんの親子連れで賑わった。西村氏は、「コンテナ建築は、コンテナを『動産』の建築として生かすもの。プロジェクト第1弾で使用されたコンテナは、サッカーチーム・サガン鳥栖のショップとして活用されている。コンテナ建築は、コミュニティ再生への新たな道を切り開くものだ」と意気込みを語っている。

株式会社ワークヴィジョンズ
東京都品川区東品川
西村 浩代表取締役
http://www.workvisions.co.jp/